日次と月次
~ 月次レポートは日次のスナップショットとは限らない ~
実消化レポートにしても、MRアクティビティレポートにしても、BIで提供されるレポートには、一つの切り口に対して、日次で更新されるものと、月次で更新されるものがあります。
これは、製薬会社に限らず、どの会社の営業レポートも同じではないかと思います。たぶん、ご自身の会社の計数管理のレポートなどもそうなっているのではないでしょうか。
この章では、レポートのアウトプットタイミングによる内容の違いについて書いて行きます。
更新タイミングの種類
主な更新タイミングは3つです。
1.日次更新
2.日中更新
3.月次更新
小さな製薬会社であれば、[ 2.日中更新 ] はない場合もあると思います。
また、四半期更新、半期更新、年次更新というものもレポートとしては存在しますが、月次更新の延長と考えていいかと思います。
各更新タイミングの内容
1.日次更新:
毎営業日の夜間(※)に更新され、前日までの当月実消化実績や当月MR稼働実績を集計します。
その日のデータを昨日までの当月データに加算したもので、月末に向かって、「当月実績」が日々増加していくような内容になります。
当月実績、当月計画、当月計画進捗率、当月日別実績、等がレポートの項目になります。
※:土曜の夜間に更新する会社もあります。
2.日中更新(速報):
これは、実消化レポートの更新において行われることがあります。
全ての製薬会社が行っているという訳ではありません。
JDnetやNHIからのデータを日中に複数回取得して、その時点でのデータを公開するというものです。
ベテランの計数担当者であれば、例えば午後3時のデータをみれば、翌朝に公開されるその日の実績が経験的に予測できます。
上図の例では、日中と日次が別のUIになっていますが、昨日までの当月実績に当日速報分をマージして表現するというUIもあります。
また、卸によって、JD/NHIへのアップロード時間は異なっているため、例えば上の例で、12:00公開の日中更新のレポートには、〇〇卸の実績が含まれているが、××卸の実績は含まれていないという事を、ベテランの計数担当者は理解して、当日の着地を予測する訳です。
もう少し、細かくしたのが以下の図になります。
3.月次更新:
一方、月次は、その月が終わったところで、締めた(=確定された)数字を公開します。一ヶ月間の実績を集計して更新されるレポートです。
月別実績、当月実績、当月計画、年/期累計実績、年/期累計計画、年/当期計画、計画進捗、等がレポートの項目となります。
月次のレポートは、一ヶ月間同じものが公開されます。
「その月が終わる」というのは、会社によって違うのかもしれませんが、第3営業日が多いのではないかと思います。
ちなみに、これは、第3営業日までの納入データを計上するという事ではありません。
前月の1日~末日までの伝票データが卸から届くのを、第3営業日までは待つ。という事です。例えば、31日に卸が医療機関に納入したデータは、その日のうちには製薬会社に届かず、翌月(翌日)になって届くという事が起きる訳です。
卸から実消化データが届くのにタイムラグがある訳です。
MRアクティビティデータにしても、「2月の活動報告は3月2日までに日報入力しなさい」といった運用があると思います。
例えば、7月分の実績データは8月の初めにも届きますから、概ね出揃った頃という事で、第3営業日に処理されます。
データ処理日と計上月
ほぼほぼ、第2営業日には前月の伝票データは出そろいますので、第3営業日までに届いた前月データをもって、その月を確定させるという事になります。このあたりは「実消化実績の計上年月」にも書きましたので良ければ参考にしてください。
このように、締め日までは前月の月度で処理を行いますので、日次レポートの月が変わるのは、締め日の後になります。
日次と月次の差異
さて、では第4営業日に、月次レポートが公開されるとして、その内容は日次レポートと同じでしょうか?
おそらく、その答えは製薬会社によって異なります。
日々の日次レポートの締め日の分(最終更新版)のスナップショットを取り出して固定し、月次レポートとしている会社もあるでしょうし、日次は速報的なもので、補正データ、調整データを月次レポートには加味して公開するという会社もあるのではないかと思います。( 下図はスナップショットの場合です。)
月次は日次のスナップショットであるケース
『月次 = 日次の最終日のスナップショット』の場合は、当月データの処理としては、出来上がった日次データをコピーしておしまいです。数字は一致します。一見、簡単ですが、トラブル時のリカバリーにリスクがあります。
日次スナップショットの月次処理はトラブル時の復旧が大変
このケースは開発や通常運用はシンプルで楽です。ただし、第4営業日に公開されたレポートに不具合があったことが、第5営業日以降に発見されたりすると、かなり面倒なことになります。日次のデータストアは既に新しい月のデータに置き換わっていますので、バックアップデータを別の環境にリストアして再処理をするなど、手間をかけてのリカバリーになります。
日次は速報、月次は確定情報であるケース
一方、日次は速報版。正式版は月次。というように、公開内容が異なるケースもあります。
例えば、前月施設特定のできなかった変換エラーデータが施設特定されたような場合に当月に計上させる考え方があるという事を以前書きましたが(納入先・施設変換登録月への実績計上)、日次レポートには反映させずに、月次レポートにのみ反映させるといった対応をしているケースもあると思います。
その他にも、一括納入先の按分・相殺データの差し込みを月次にだけ行うといったこともあるかも知れません。そのあたりは各社のシステムによって異なっていると思います。
(2020.02.06 作成、2020.04.02、2020.08.17修正、2021.07.16大幅修正)