実消化BIシステムのデータ階層
実消化データをBIシステムで表現するときのデータ階層です。
元々は、卸納入先単位のデータが、『卸納入先・自社施設変換マスタ』で引き当てられた製薬会社の施設コードをベースに、その親施設⇒その担当MR⇒所属組織というように上位階層へ集計されていきます。
一見、シンプルなのですが、いくつか注意が必要な事柄を述べます。
領域別MR
外資に多い形態です。領域ごとに事業部が分かれていて、それぞれの事業部が、全国をカバーしています。
つまり、ひとつの施設に対して、複数の事業部ごとにMRがついていることになります。
ここでややこしいのが、領域ごとに事業部を立てている一方で、特定の製品に関しては、複数の事業部が共同でプロモーションを行ったりします。そうなると、その製品に関しては重複して集計していく必要が出てきます。
複数担当制
これは大学病院などで見られます。大学病院には、数百人の医療従事者がいますから、一人のMRでは対応し切れません。そのためひとつの施設に対して複数のMRが設定されています。
これは、実在するMRを主担当副担当として施設に設定するケースや、施設に対しては、架空の担当者コードを割り当てて、施設:MR=1:1を保ちつつ、架空担当者に対して、実在MRを割り当てるなど、さまざまな対応方法があります。
卸軸での集計
一方、 卸納入先単位のデータは、『卸組織・自社コード変換マスタ』を経て、『卸組織マスタ』に沿って、上位階層に集計されていきます。
こちらもいくつか注意が必要です。
MS
MS ( Marketing Specialist )と呼ばれる、卸の営業です。MRは、MSと共同でプロモーション活動を行います。
製薬会社は、卸から納入先マスタを受領して、『卸納入先・自社施設変換マスタ』の整備を行いますが、その際にMSコードも合わせて入手できた卸については、MS別の集計を取ることが出来ます。また、VANから受信する実消化データ内に、MSに相当するレベルのコードが含まれている場合もあります。
MSと共同で活動するMRにとって、MSの実績は有益なものとなります。
ただし、すべての卸から入手できるわけではありません。
卸営業部
卸の組織も、営業所 > 支店 > 営業部 > 企業というような階層となっていますが、製薬会社のシステムはこれらを、「卸または卸営業部」と、「卸組織」といった2つ以上のマスタで管理します。
ひとつは、 支店>営業所といった卸内の組織階層を管理するもの。もうひとつが企業もしくは、営業部程度の大きな組織を単位としてその各種属性管理するものになります。
そして、そこで管理される「卸または卸営業部」というものは、小さな卸の場合は、卸そのもの、4大卸のような大きな卸の場合は、営業部など、おおよそ都道府県の範囲を目安とするような単位で管理されることが多いと思います。
これは、営業事務的な面での要求もあるのでしょうが、卸が合併した場合、ひとつの営業部として取り込まれて、それまでのコードを引き継ぐといったようなことがあるようです。
ちなみに、「営業部」という表現は代表的な表現として用いましたが、その名称は当然卸によって異なります。
大まかに都道府県のサイズと捉えればよいかと思います。スズケンの場合は「営業部」、メディセオの場合は「統括営業部」という事になります。
( ※2019.9現在 各社ウェブサイトにて確認 )
営業部上位組織、企業、企業グループ
営業部上位組織: 大きな卸になると、 複数の営業部をまとめた組織があります。メディセオの場合は、複数の統括営業部をまとめた支社という単位になります。
企業: 4大卸や、複数の都道府県をまたがって営業展開するような比較的大きな卸に対するもので、企業としての卸そのものを示します。
企業グループ: 子会社も含んだグループということになります。たとえば、スズケンの場合、一部のエリアは「スズケン岩手(岩手県)」「スズケン沖縄」などの子会社が担当しています。これは4大卸はどこも同じで一部地域は子会社がカバーしています。
流通担当支店
これは流通を担当する製薬会社の組織になります。通常、MRのいる営業第一線組織とは別に、卸を担当する流通部員が製薬会社にはいます。それらの流通部員の属する組織体系での集計となります。
組織と卸を組み合わせたVIEW
図には示していませんが、製薬会社内の組織、たとえば支店や営業所内の卸別の状況といったような見方もあります。
<4大卸> スズケン、メディセオ、アルフレッサ、東邦薬品
2019.9.10作成、2020.3.17修正