実消化データとBI
実消化データは、実消化システムからBIシステムに連携され、そこで他のデータ( 計画、施設ターゲット、マスタ ) などと組み合わされ、本社スタッフや、営業第一線組織に提供されます。
概要を示したのが以下の図です。
上の図で表現しているのは、実消化データにかかわる、BIシステムです。実際のレポートには、市場データや、MRアクティビティデータ、eディテールログデータなどがかかわって来ることもあります。
インプットとしては、実消化データの他に、計画データ、ターゲットデータ、マスタデータがあります。マスタデータは、ディメンションとしても扱われると同時に、特定条件での医師数、施設数などを集計してファクトデータとしても扱われます。
また、ここでは、トランザクションとして、各種データがDWHに取り込まれる絵を描きましたが、この部分は各社で全く異なっているのではないかと思います。
そして、アウトプット。これもまた、各社でまちまちだと思います。上図では、「とある一般的な例」として描きました。
1.基本的なレポート (MR向け、FLM向け、流通担当向け)
これは、Webであったり、Excelのレポートだったり、専用のソフトウェアだったり、媒体は三者三様と思いますが、施設別であったり、MR別、或いは卸別、卸内組織別に、実績、計画、計画進行、前年比などの数値を時系列で並べたベーシックなレポートです。
また、ベーシックな表とは別に、グラフなどビジュアルなレポートもあります。
2.上級マネージャ向けレポート
これは、支店長、営業部長、事業部長といった、上級マネージャ向けのレポートです。表示されている内容は、1.の「基本的なレポート」と変らないのですが、複数のレポートに表示されている情報が、ひとつのレポートに集約され、また、表示順なども、微妙なこだわりを反映したような凝ったレポートです。
このレポートは、案外作るのに手間が掛かりますし、障害発生時も、利用者が少ないにもかかわらず、偉い人が見るため、本社スタッフのIT部門へのプレッシャーは大きいものになります。
3.テーマ型レポート
これは、その時々で作られて、廃れていくレポートや画面たちです。多くの場合、実消化だけではなく、 市場データや、MRアクティビティデータ、eディテールログデータ などもあわせて表現されます。
- 営業所長(FLM)がMRの状況をひと目で把握できる。
- MRがDRの状況を多角的に把握できる。
- 訪問をレコメンドしたりリマインドする。
等々、本部の担当者の思い入れや、トップの考え、時代の流行などによって登場しては消えていきます。
これは実消化のBIというより、CRMで語られるものなので、また別の章で触れていきたいと思います。
4. ヘビーユーザー向けツール
これは、ツール、データ、業務の3つを理解したユーザー、もしくはそのユーザーのアシスタント向けのツールです。①仮説を検証したり、②構築された分析軸に基づくレポートを作成したりといった使い方になります。
機能としては、古い表現ですが、MOLAPとROLAPがあり、上図でもその2つを表現しました。もちろん、会社によって、両方をそなえたところもあるでしょうし、片方だけのところもあるでしょう。
ここでいう、①仮説を検証したり、②構築された分析軸に基づくレポートを作成したり、というのは全く異なる行為です。
①はマーケティングの担当者が、仮説を立て、その仮説の検証や、ブラッシュアップのために試行錯誤してデータに取り組む行為。②はある程度確立された分析軸に基づいてレポートを作成し、アクションや日々の進捗管理に使用するというものです。 BIツールには、このあたりを区別しているものと、微妙にあいまいなものがあります。
4. 手作業による2次加工レポート
そして、割とありがちなのが、『新しいレポートが必要になったが、システムを改修するとコストも時間も掛かるため、ユーザー部門のスタッフが作成する。』とか、『 既存のレポートにはある項目が表示されていなくて、その項目を追加したいがためにスタッフが自作する。』などといったケースです。
これが実は結構かなり曲者です。
パターンとしては、たとえばとある支店や、営業部で、『あるプロモーションをする事になって、その効果測定をしたい。』といった様なケースがあります。IT部門に依頼してもすぐには対応されませんから、部門内のスタッフが自作することになります。
そして、切ないのが、エグゼクティブのスタッフによる、エグゼクティブ向けレポートの作成だったりします。
このアウトプットは、 「2.上級マネージャ向けレポート」にかなり近いのですが、ITのアウトプットをそのままは出せない訳で、作業をされる方の緊張感は大きくなります。朝の早いエグゼクティブの出社時に、前日のレポートを印刷して提出するために、当番でこの作業をやったりする訳です。
2019.9.08