あるMRさんの話 2
ターゲットにしたくないから患者数を減らす
これも、ある製薬会社さんのIT部門に常駐していた時のことです。ちょうど、来期のターゲット入力をしているところでした。
ターゲットは、MRひとりあたり何人という縛りがあると同時に、『一定のポテンシャル』がある施設からは必ず選定しなければならないというルールになっていました。高ポテンシャルの施設を選んでいないとエラーになるのです。
『一定のポテンシャル』というのは、①自社品の売上高だったり、社外から購入した②市場データによる他社品含めた市場規模だったり、あるいは、③MRさんが自ら調査してインプットする患者数などのデータから判定されます。
ヘルプデスク経由で情シスに、あるMRさんからの問い合わせがエスカレーションされてきました。
『〇〇医院はターゲット必須になっているのですが何故でしょうか? 外したいんですが・・・』
どうやら、あまり訪問したくない施設の様です。
お調べしたところ、MRさんが入力された患者数によって、ターゲット必須施設になっていました。そのことをお伝えすると、
『ってことは、患者数減らせば、ターゲットにしなくていいという事ですかっ?』
「本社の主旨には反すると思いますが、そういうことになるかと思います。」とお答えすると、MRさんは大喜びで、患者数減らしますとおっしゃって、電話を切られたのでありました。
人間ですから、そういうのありますよねとも思いましたし、そういう作戦を情シス員に対してしゃべってしまうというのが、ずいぶんおおらかな方だなと、微笑ましく思ったのでありました。
なお、当然、そのことは本社のターゲット推進担当の方にチクりましたけれども・・・。( ウソです )