公平なMR評価(実消化)について

Twitterを見ていると、『MRの評価は担当エリアガチャ』というのをよく目にします。
『 なんだかんだ、どこ(エリアや施設)を担当するかでほぼ決まってしまう 』
という意味だと理解しています。

また、MR出身の本社の方に、『 期の途中で、担当している大きな病院が廃院になったら、その年は終わり 』と、伺ったこともあります。

その一方で、製薬会社の本社部門は、公平なMR評価のために、かなり努力し、お金をかけていると感じることも多いです。

公平な評価が、モチベーションの基盤になるという事なんだろうと思います。

今日は、MR評価の概要と、実消化実績評価の公平性の阻害要因、そしてその解決に向けた努力について書いてみたいと思います。

MR評価の概要

会社によって、評価の詳細は当然異なると思いますが、ざっくり書くと以下になると思います。

1.実消化実績:結果としての評価
2.MR活動
:プロセスの評価

そして、詳細は会社によって異なってくるわけですが、その前に、製品の領域と、MRの担当販路によって評価の基準が異なってきます。すなわち、オンコロジーMR、希少疾患MR、プライマリーMR(大学担当)、プライマリーMR(開業医担当)です。

ここでは、プライマリーMR(開業医担当)を念頭に書いて行きたいと思います。

1.実消化実績での評価

実消化の金額による評価です。普通の営業マンで言えば売上になります。

MRの実消化計画に対して、実績がどうだったかという指標です。( 計画比 )

これは、担当全品目での合計という部分と、注力品目でどうかかという部分があります。

トータルで計画をクリアすればいいだけでなく、注力品目の計画もクリアする必要がある訳です。

その他、納入軒数、新規納入軒数なども評価項目となるケースもあるかも知れません。

プライマリー領域で期待の新製品が上場された時であれば、新規納入軒数はフォーカスされると思います。

拠点育成(〇〇錠以上使ってくれる先の育成)という要素が入ることもあるかも知れません。

2.MR活動での評価

実消化実績が結果の評価だとしたら、これはプロセスの評価と言えるでしょう。

訪問回数、ターゲットDrに対する訪問回数、説明会実施回数などが評価項目になって来ます。
この他に、研究会の企画回数メールアドレスの取得件数メールの送信回数などが対象となるケースもあるかと思います。

その時々で、本社がMRにやらせたいことがあって、それをどれだけやったかで評価するという事でしょうか。個人的には、あんまり好きではありませんけれども・・・。

やらされるのも嫌ですけど、ベースとなる訪問は自己申告な訳で、それをどこまで信用するんだろうというのもあります。

以前担当したお客さんのところで、大学担当MRの評価に関して、『秒殺(『先生おはようございます』だけ )はディテール回数に入れるべきではない』みたいな議論があって、実際にそういう運用を始めたところがありました。

でも"秒殺かどうか"などという事は、本人の主観でしかない訳で、そういう話を向けましたら、本社の方は『そういう事もあるだろうけど、それをやっても結果(実績)はついてこないから』と、仰っていて、内心「だったらいいんじゃないの?」と唸ってしまいました。

また、前にも書きましたが、MRさんと以下のような問い合わせのやり取りをしたことがあります。

ターゲットDrに対する訪問が評価される
    ↓
ターゲットに苦手なDRがいるから外したい
    ↓
ターゲットフラグは、MRが入力する患者数の多寡で自動設定になって外せない
    ↓
患者数を減らして、ターゲットを外す

cf . 『あるMRさんの話 2』

いずれにしても、実消化実績と、MR活動の指標が組み合わさって評価となります。
厳密には評価用基礎資料が出来るというべきでしょうか。最終的にはいろいろ調整が入るのだと思いますが。

2.公平なMR評価のための課題と対策例

MR活動は、信ぴょう性の問題はあるにしても、活動が反映されない事はありません。一方、実消化実績でMR評価を行う上での課題としては、活動の成果として担当Drが処方したにも関わらず、自身の実績として計上されないという事がいろいろな要因で発生します。同じような記事を以下でも書いていますのでよかったら見て下さい。
cf. 医療機関への納入実績把握に支障のあるケースのまとめ

凡その所を図にしてみました。

1.一括納入によるもの

これは、複数の施設向けの製品を一括して別のところに納入するという流通形態によるものです。
いずれも、納入先企業の物流網で個別施設に展開されます。
実消化実績としては、個別の施設には計上されません。

■チェーンの調剤薬局への納入。⇒ 物流センターに一括納入して、チェーン薬局の物流網で配送
■自衛隊病院、自衛隊医務室への納入。⇒ 調達本部、補給処に一括納入
■グループ病院 ⇒ グループ内の複数の病院向けの薬を、グループの購入会社が一括購入する
★★いずれも、そういうケースがあるという事で、例えば自衛隊病院へのすべての納入が調達本部経由ではありません。
■類似のケースとして、検査薬。⇒ 検体は医療機関で上がるが、検査薬は検査センターに納入される

これらは、何かしらの方法で、個別施設への配送実績を入手することで、部分的に解消されることがあります。チェーン本社と交渉して、分配データを入手する等、一部で解決は出来ますが、全てのケースで解決できる訳ではありません。

2.分割販売によるもの

これは、包装パッケージを卸が開封して、その一部を医療機関に収める形態です。
(在庫を持ちたくない医療機関に卸が応えたものになります)

SKU単位の実消化データとしては、卸から同一卸への納品として扱われますので個別施設には分解されません。ただし、卸によっては、分割した製品に架空の製品番号を割り当てて、個別施設への納入データを提供してくれるところもあります。架空製品コード表を入手すれば、実消化の製品エラーデータの中から拾い上げることができます。

3.二次卸

これは、製薬会社が納品している卸以外の卸に、医療機関が注文した場合などに生じます。
製薬会社 ⇒ 一次卸 ⇒ 二次卸 ⇒ 医療機関
の流れとなります。

一次卸から入手される実消化データの納品先は二次卸となり、医療機関は特定されません。

しかし、その2次卸から、納入データを入手できれば、正しく施設に計上できます。

これは、製薬会社と二次卸の間に他の製品での取引があるか、まったく関係がないのかといった事でも変わってきます。

JD-netやNHIでデータの入手が可能なケースもあれば、独自のルートで入手するケースもあります。

4.マスタ登録の不備

マスタ登録の内容に不備があり、正しく実績が計上されないケースです。

■薬局が出来たばかりで、施設マスタに登録されていないケース
■施設は登録されているが、卸納入先との紐づけマスタに登録されていないケース
■卸納入先との紐づけマスタに誤って登録されているケース
 ・単純な登録誤りのケース
 ・卸が、納入先コードを再利用している事での紐づけ誤り
■薬局の親施設の登録が間違っている(似た名前の別の医療機関に紐づいてしまっている)

他にもあると思いますが、このような場合、本社部門内での自己発見もありますが、MRさんなど現場からの問い合わせで解決することも多いです。

登録されていない場合は、未登録、施設変換エラーといったステイタスになり、本社でも認識できます。本社では、未登録・施設変換エラーを解消する活動を行っています。一方、誤って登録されてしまったものは、問い合わせがないと発見が難しいという事になります。

5.マスタ構造上、運用上の限界

ひとつの薬局に対する処方元の登録が1つしかない場合は、複数の処方元に実績を分解出来ないため
マスタ登録上の親施設が実績を総どりすることになります。

プライマリー領域の開業医販路担当MRであれば、担当施設の処方箋が担当外薬局に流れることもあれば、その逆もあるため、これについてはおあいこと言えますが、高薬価な薬剤の場合は、簡単には割り切れなくなります

また、希少疾患薬の場合(例えば患者が全国に数百人。薬価は超高額)は、症例(患者)単位に把握されているため、親子マスタによる集計とは別の管理がなされていると思いますので、逆に問題はないのかも知れません。

6.患者さんが処方元施設から離れた薬局で受け取るケース

これはどうしようもありません。一定の割合で発生することです。
上記の[5.]と同じで、プライマリー・開業医販路MRの場合は、高薬価製品の場合に問題となります。

7. システム以外の対応

[5.][6.]をはじめ、上で述べた解決策でカバーされない問題は、ものによってはシステム外で管理されて、評価の際に補正されるという事になるかと思います。

8.システム運用上の注意点

この業務でミスをすると、かなり大きな問題となります。

再計算して、MRさんの評価そのものに影響がないとホッとするのですが、インセンティブが変わるという様なことになると、ちょっと想像したくない事態になると思います。

幸い、私は経験せずに済みましたけれども。

( 2021.05.25 )

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