マスタ・エンティティの概要

ここでは製薬会社の主要なマスタについて紹介します。

厳密にはER図とは違いますが、雰囲気はご理解いただけるかと思います。

卸とプロダクト関連を除く主要なエンティティについて、関連記述型エンティティも含めて記述しました。

マスタ構成の実装としては、この通りのところもあれば、異なっているところもあると思います。

また、この図はかなり簡略化しています。実際には、各エンティティにはさまざまなエンティティのサブセットがあります。

施設

 一般に、医療機関のことを「施設」と呼びます。病院、診療所、薬局などの医療機関がおもなデータですが、製薬会社によっては、歯科医院や、老健(介護老人保健施設)、特養(特別養護老人ホーム)なども登録されているでしょう。診断薬を販売しているところなら検査センターも登録されているはずです。また、研究所や購入会社(トンネル会社)であっても、自社品の納入があれば登録されます。

基本的な項目:名称、住所、電話番号、診療科目、経営体、病床数…..ect

他に、自社が設定する販路分類などがあります。

また、サブセットとして、高度医療の実施体制有無、薬局の場合は後発品体制加算などがあります。

医師

医療従事者マスタ、顧客マスタなどと呼ばれることもあると思います。医師と薬剤師が基本で、そのほかに、歯科医師、看護師、検査技師などが登録されることがあります。

基本項目:氏名、性別、生年月日、卒業大学、卒業年、所属医師会…ect

また、サブセットとして、専門医・指導医・認定医などの資格情報、参加学会などがあります。

MR

医薬情報担当者( medical representative )

製薬会社における「営業」というと語弊があるかも知れません。 wikipediaには以下のように書かれています。

“医薬品の適正使用のため医療従事者を訪問することなどにより、医薬品の品質、有効性、安全性などに関する情報の提供、収集、伝達を主な業務として行う者のことを指す。”

以前は『プロパー』と呼ばれていましたが、現在は『MR』価格交渉も行いません。しかし、現在においても製薬会社の営業第一線の顔であることに変わりはありません。

社員マスタのサブタイプとしているところもあれば、MRのみを取り出したMRマスタとしているところもあると思います。MRの他に、上長である営業所長や、支店長、本社スタッフ、MSL(メディカル・サイエンス・リエゾン) などが登録されます。

ダミーデータ

MR、医療従事者、施設はどれも、実在しないダミーデータが登録されていることが普通です。たとえば、実際には担当者のいない廃院施設に対して、割り当てるためのダミーMR、複数のMRが担当する大学病院に紐付けるためのダミーMR。

医師の場合は、個人が特定されていない、「検査技師」「薬剤師」のような名称のダミーデータがあります。MRが施設を訪問し、それをSFAで報告する際には医師マスタにデータが登録されている必要がある場合に、ダミーデータが登録されることがあるようです。

施設については、納入先が登録されていない場合に取り付けるダミー施設などがあります。

施設とMR

MRが施設をどう担当するかは、製薬会社によってさまざまです。

1施設1担当で、独りのMRが担当全品目のディテールをする会社もあれば、領域別に部門が分かれていて、たとえば循環器と消化器の事業部があり、それぞれにMRがいるような場合、循環器科と消化器科のある病院は2人のMRがつくことになります。

1施設1担当だったとしても、 大学病院などは、正副2名の担当者がついたり、場合によっては3名以上の担当がつくケースがあります。その場合に、正担当ではなく、ダミーの担当を付けるケースがあります。ダミーを付けることによって、施設とMRの関係を1:1に保ちます。

施設・医師

通常、医師は一つもしくは複数の病院・診療所で勤務します。

例えば、開業医は施設:医師が1:1です( 特定日に他の病院で診療する医師もいるが )。一方、勤務医は、曜日によって異なる病院に勤務する様なことはよくあります。

また、マスターの実装としては、一つの病院内に同一の医師を複数登録するような場合もあります。たとえば、外科の鈴木Dr、中央手術室の鈴木Drといった様に、所属部科ごとに医師を登録するケースです。

親子( 施設と薬局 )

これについては、別に章立てして記述するつもりですが、先に述べ多様に、施設の中には『病院・診療所』と『薬局』があります。患者は、病院・診療所で受け取った処方箋を持って薬局を訪れます。製薬会社の多くは、処方元を把握するために、処方元・処方先の関係をマスタで管理しています。

アルトマークマスタ

株式会社日本アルトマーク 

施設マスタ、医師マスタを販売している会社です。

このアルトマークマスタが業界のデファクトスタンタードと言っても過言ではないでしょう。後発の外資系製薬会社の多くは、このマスタを自社マスタとして使用し、不足分だけをアルトマークの非採番コード域に自社独自採番データとしてマージして管理しているのが一般的ではないかと思います。

また、歴史の古い内資系製薬会社も、自社コードによる独自マスタを基本としつつも、アルトマークマスタを購入して、自社マスタの精度向上に努めるとともに、他の製薬会社と共同プロモーションを行う際の共通言語として、自社コードと紐づけて整備していると思います。

2019.7.13作成2019.7.14修正

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